研究概要 |
本研究対象の電池は,電力貯蔵や電気自動車用動力源を目的としたもので,ナトリウムを負極活物質,ベータアルミナ固体電解質を隔膜,塩化アルミニウム・塩化ナトリウム混合溶融塩と塩化硫黄(IV)を正極活物質とする電池である。 本年度は,この電池の分極現象を調べるための実験セルを考案し組み立てた。すなわち,ベータアルミナ円板をOリングで固定し,両側に塩化アルミニウム-塩化ナトリウム溶融塩(正極活物質)を入れるタイプのセルで,これを用いて分極測定実験を試みた。しかし,ベータアルミナ近傍の溶融塩中に気泡がたまるというトラブルが発生し,その原因を追求しているところである。また,これと平行して,ポテンショスタットと周波数特性分析器を用いたインピーダンス測定法を確立するために,モデル実験として多孔性ニッケル電極での水素発生反応についてインピーダンス測定を行なった。その結果,この方法で正確な測定が可能であることがわかった。さらに,測定データの解析のため,電解質中のイオンの拡散,泳動,対流,化学反応を考慮した非定常の濃度電位分布の数値計算法を検討中である。 次年度は,上記セルのデザインおよび実験方法を改良したのち,ACインピーダンスを測定し,ベータアルミナ溶融塩界面での分極機構の解明を目指す予定である。
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