研究概要 |
高断熱効率の得られる超音速クローズドサイクル(非平衡)ディスク形MHD発電機を実現するためには,その発電流路部およびディフューザ部の両方の高断熱効率化を図る必要がある.このうち,発電流路部の高断熱効率化を実現するためには,断熱効率は流路形状に大きく依存するので,境界層の影響も考慮に入れた流路形状および諸量分布の最適設計を行う必要があるが,そのためには,従来から用いられている諸量の発電機半径方向分布のみの計算を行う準1次元設計計算コードではなく,発電機高さ方向分布の計算も行う詳細な2次元設計計算コードが必要となる. このこと考慮して,本研究では,超音速クローズドサイクルディスク形MHD発電機発電流路部の,境界層を考慮した流路形状およびその内部における諸量の詳細な2次元分布を決定することができる,2次元設計計算コードを開発した.本コードの特長は,半径方向の電界強度は主流でも境界層内でも通常ほぼ同じ値をとるので,研究代表者らが以前開発した準1次元設計計算コードと同様,それが適切な値で一定という補助条件を採用し,その条件を主流のみならず境界層も含む発電機内全体に適用することにより,流れを主流と境界層に分けることなく,発電機内全体で2次元の設計計算を行うことに成功した点にある. 本コードを用いて,一例としてセシウムをシードしたヘリウムを作動流体とする熱入力50MW,電気出力15MWの発電機の発電流路部の設計を行い,その結果と非定常2次元シミュレーション結果との比較により,本コードの設計計算の精度は十分に高いことを示した.さらに,従来の準1次元設計計算結果との比較により,発電機の実効高さおよび主流における諸量の半径方向分布についても,それらを正確に決定するためは,準1次元設計計算コードでは不十分であり,今回開発した2次元設計計算コードが必要であることを明らかにした.
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