研究概要 |
高サイクル効率の超音速クローズドサイクル(非平衡)ディスク形MHD発電システムを実現するためには,発電流路部の高性能化のみならず,その下流側に接続されるディフューザ部も含めた高性能化,すなわち高断熱効率化,が必要不可欠であり,そのためには,発電機の動作特性のディフューザ部も解析領域に含めた詳細な数値シミュレーションが必要である.しかし,ディフューザ部も含めた数値シミュレーションはごく最近始まったばかりであり,これまでに熱入力が数MW程度の小型の発電機に対する解析結果の報告はあるものの,高断熱効率が要求される将来の大型発電実験装置用の熱入力が100MW規模の高性能発電機に対する解析結果の報告は現在までのところまだない.このことを考慮して,本研究では,セシウムをシードしたヘリウムを作動流体とする熱入力100MW・電気出力40MWの,発電流路部単独の解析では高性能動作する大型超音速クローズドサイクルディスク形MHD発電機を想定し,ディフューザ部も考慮に入れたその動作特性の詳細な非定常2次元数値シミュレーションを行うことにより,発電機出口側境界公開条件であるディフューザ背圧の発電機の性能に及ぼす影響に関する検討を行っている.その結果として,ディフューザ背圧を衝撃波がディフューザ入口部に発生するような適切な値に選べば発電機を発電流路部のみならずディフューザ部も含めてほぼ設計通りの高性能動作させることができるが,背圧はその性能に影響を与え,背圧を低くしても高くしてもその最高性能を発揮させることができないことを明らかにしている.また,ディフューザ背圧が高すぎる場合には,流れの解析を行いたい部分がたとえ発電流路部のみであっても,諸量分布を正確に計算するためには,ディフューザ部までが含まれる範囲を解析領域としてシミュレーションを行う必要があることを指摘している.
|