研究概要 |
軽水炉原子力発電使用済み核燃料再処理工程において発生するフィッションプロダクト中に含まれるセシウム系ナノ粒子のモデル粒子として,同様にフィッションプロダクトのひとつである,銀粒子を用いた実験的検討を進めた。二重円管内部にメッシュ状の銀をセットし,内管、外管の両方から、N2ガスを導入しながら,二重円管を電気炉で加熱することにより,銀ナノ粒子発生させる装置を試作した。発生する銀の蒸気密度は,電気炉での加熱温度,内管、外管のN_2ガス導入速度を調節することにより,低濃度から広範囲にコントロールした。ナノサイズ粒子をその場測定するための静電分級型モビリティアナライザ(DMA)の試作,開発を行った。本装置は,二重円筒内の電場中で,軸方向にガス流れがある装置内に荷電ナノ粒子が存在する場合,円筒管半径方向のナノ粒子の移動時間(ナノ粒子に作用する静電気力と流体抵抗のバランスにより決まる)と軸方向の粒子の移動時間がちょうど同じ粒子のみをセレクトする原理に基づいている。本装置により,発生したナノ粒子を気相中の低圧場(120-300Torr)でその場で測定した。発生した銀粒子の体積平均径は,発生温度870-940℃の範囲で,6-14nmであった。測定濃度は粒径分布のピーク値で6.7x10^7-3.3x10^8particles/scm^3であった。 さらに,透過型電子顕微鏡TEM(共同利用機器)による粒子サイズのクロスチェックを行うための捕集器の製作し,ナノ粒子測定器(DMA)の上流に取り付けた。サンプリング後にTEMによる観察を行い,DMAで測定した粒径分布から算出した体積平均径とTEM観察粒径分布から算出したそれとを比較したところ,DMA径のほうが若干大きいものの両者は両対数プロット上で傾き1のよい相関を得た。
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