研究概要 |
軽水炉原子力発電使用済み核燃料再処理工程において発生するフィッションプロダクト中に含まれるセシウム系ナノ粒子のモデル粒子として,同様にフィッションプロダクトのひとつである,銀粒子を用いた実験的検討を最初に進めた。昨年度までに開発,試作したナノサイズ粒子をその場測定するための静電分級型モビリティアナライザ(DMA)の分級特性を実験的に検討するため,DMA下流に,透過型電子顕微鏡TEM(共同利用機器)用の捕集器を取り付け,分級粒子のサンプリング,TEMによる観察を行い,クロスチェックした。DMA分級設定径とTEM観察粒径分布から算出したそれとを比較したところ,DMA径のほうが若干大きい(+14%)ものの両者は両対数プロット上で,5-25nmの範囲で傾き1のよい相関を得え,さらに分級のシャープさを表す,粒径分布の幾何標準偏差の値は,分級前の1.33-1.6から,実験条件での理論値(理想的値)1.093とほぼ見なせる,1.1という値を得た。 つぎに,フィッションプロダクトの代表的物質である,セシウムとヨウ素からなる,ヨウ化セシウムエアロゾル粒子の発生器を試作し,その発生を試み,粒径分布をDMAで測定したところ,その発生条件により,5-100nm(あるいはそれ以上のサイズ)に分布していることを見出し,発生温度が上昇するにつれて,発生粒子濃度,粒径が大きくなることを明かにした。また,DMA分級前後のサンプリング粒子のTEM観察から,Agナノ粒子の場合と同様にDMAを用いたサイズ計測さらにはサイズ選別が可能であることを実験的に明らかにした。
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