研究概要 |
相対効率20%及び70%の高純度ゲルマニウム検出器を用いて、高放出率で2本のγ線をカスケードに放出するカスケードγ放出標準線源、^<24>Na,^<46>Sc,^<48>Sc,^<60>Co,^<88>Y,^<94>Nb,^<108>Agの測定を行った。検出器表面と線源の距離を約30cm及び40cmと長く設定し、不確かさの原因となるカスケードサム補正を0.01%以下に抑えた。測定結果に共分散を用いる最小2乗法を適用し相対検出効率曲線の超精密決定を行った。434keVから2754 keVの範囲で、両端では0.3%程度、中間領域では0.1%程度の推定標準偏差であった。この高精度相対検出効率曲線を用いることにより、^<38>Cl(37.24m)の1643keVと2167keVγ線の相対γ線強度測定の結果0.7496±0.0011と高精度で決定できた。さらに、崩壊率精密測定により^<60>Coの崩壊率を0.1%以下の不確かさで測定し、相対検出効率曲線を規格化精密絶対検出効率曲線に変換し、^<134>Cs及び^<152>Euのγ線放出率測定を行った結果、0.3%の不確かさで決定できた。現在、^<111>In等の測定により低エネルギー側への範囲拡大を進めている。 一方、4πβ-γ同時計測装置によるγ線放出率の精密測定では、医療への利用が期待される^<186>Re(89.25h)の137keV及び^<188>Re(16.98h)の155keVγ線を測定した結果、0.09487±0.00029及び0.15425±0.00072であった。さらに^<76>As(26.32h)の559keV、^<159>Gd(18.48h)の364keVγ線放出率を測定した結果、各々0.4067±0.0029及び0.1178±0.0005と従来の精度を約1桁改善できた。しかも^<76>Asでは報告値が10%小さいことも判明した。
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