研究課題/領域番号 |
10680501
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
山田 悦 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30159214)
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研究分担者 |
布施 泰朗 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教務職員 (90303932)
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キーワード | フミン物質 / 蛍光光度法 / ゲルクロマトグラフィー / 分子量分布 / 起源 / 土壌酸性化 / アルミニウム / スペシエーション |
研究概要 |
フミン物資(フミン酸・フルボ酸)は、環境中の主たる有機成分であり、環境中での金属の存在状態に影響を与えると共に、近年は有害な有機物と結合し、その残留や拡散に影響することが指摘されている。また水道の塩素処理における有害なトリハロメタン生成にも関与している。本研究では、環境中のフミン物質の濃度と分子量の同時測定が可能な蛍光検出-ゲルクロマトグラフ法を開発し、フミン物質の環境中での動態を解析した。また、酸性雨による土壌からのアルミニウムの溶出に及ぼす土壌中フミン物質の影響について検討した。 1)蛍光検出が紫外吸光検出よりも感度や選択性が良いことを利用し、濃縮分離せずにフミン物質を直接ろ過のみで蛍光検出-ゲルクロマトグラフ法で測定する方法を開発し、淀川水系河川水フミン物質の濃度と分子量の季節変化を明らかにした。河川水中フミン物質の濃度は冬季よりも水温の高い夏季の方が高く、また高分子量のフミン物質の割合が高かった。河川水における溶解性フミン物質の主な起源は土壌起源であると推定された。 2)酸性雨による森林衰退は世界的な環境問題であり、酸性雨が降ると、土壌はカルシウムやマグネシウムイオンと降雨中の水素イオンを交換して土壌を中和するが、pHが5以下になるとアルミニウムの溶解によっても中和される。アルミニウムは植物の伸長を著しく阻害し、植物被害を引き起こす。本研究では、アルミニウムとルモガリオンの蛍光反応を基にした自動分析法とカチオン及びアニオン交換体を用いるアルミニウムの状態別定量法(スペシエーション)を開発し、土壌中のアルミニウムの化学種を求めた。水溶性のアルミニウムは土壌のpH5以下で溶出し、pHが低いほどその濃度は高くなり、同じpHでもフミン物質の濃度が高いほど高くなる。pH3.5付近ではAl^<3+>が多く存在し、土壌pHが低下するとアルミニウムによる植物への影響が懸念される。
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