研究概要 |
平成10年度 北海道および宮城県近海の数箇所、新潟県佐渡島、および鹿児島県奄美大島近海で捕獲された貝類、カニ、エビなど数種類の無脊椎動物の軟体部にふくまれる元素濃度を光量子放射化分析法(PAA)、中性子放射化分析法(NAA)、原子吸光光度法(AAS)の三法で求めた。試料は貝類の場合は軟体部全部か、閉殻筋と中腸腺に、カニ、エビ類はエラ、肝膵腺、筋肉に分別した。凍結乾燥後にミルで粉末にして、PAA法およびNAA法の場合はそのまま照射して生成放射能から元素濃度を求めた。AAS法の場合はマイクロウエーブプロセッサーで酸分解後、溶媒抽出法で目的元素を分離して分析した。 PAA法ではAs,Br,Ca,Cu,Fe,I,Mg,Mn,Mo,Na,Rb,Sn,Znの13元素、NAA法ではAg,Co,Fe,Se,Znの5元素、AAS法ではCu,Fe,K,Ni,Znの5元素を分析することができたので、三法をあわせると18元素についての濃度を得ることができた。また、動物の種や臓器によって元素濃度の違いも明らかになってきた。 平成11年度 今年度に関しては試料入手可能な時期や照射のマシンタイムなどの時間的な制約上、分析試料の処理に用いる予定のロータースピードミルの納入が間にあわなかったため、一般的なミルを用いて試料を粉末にした。そこで、来年度は平成10年度に分析した数種類の試料をロータースピードミルで粉末にして元素を分析し、粉末作成に用いる器材の差異の有無を検討する。また、元素濃度に特徴がみられる試料については、他の海域で捕獲されたのものを分析し、海域の差異の有無を検討する。
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