研究概要 |
1)ポリマーマトリックスの合成について:我々のグループで見い出した水-有機2相系で開始剤に塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)-Na_2S_2O_4-CCl_4を用いて、重合が直線的に進んだメタクリル酸メチル(MMA)をモノマーとしてアセトニトリル、ジメチルホルムアミド、メタノール及び1-ブタノールを用いて重合を行った結果、極性溶媒を用いると相間移動が起こりやすく、またS_2O_4^<2->が活性な状態におかれCCl_4と急速に反応しCCl_4が消費されてしまい、dead-end重合を起こすと考えられる。また、酢酸エチルを溶媒として、これらの極性溶媒を触媒量添加して重合を行った場合には、重合速度が低下し、極性溶媒の局部的な効果が示唆された。一方、センサ特性に及ぼすポリマーマトリックスのガラス転移温度(Tg)の影響について検討するため、アクリル酸エステル(AA)及びメタクリル酸エステル(AMA)のポリマー合成を行い、DSCによるTgの測定を行った。 2)色素の合成及びセンサ特性について:5-mono-(P-hydroxyphenyl)-10,15,20-tri-phenylporphyrinに異なった鎖長、水酸基を有するアルコキシル基が1本導入されたポルフィリンを合成し、これらのポルフィリンをTgの異なるポリマーマトリックスに分散した複合膜のHClガスに対するセンサ特性について検討すると、(1)応答回復性について、AA系高分子の方がAMA系高分子よりも速いことがわかった。一方、ポルフイリンの置換基効果については、(1)応答性については、直鎖の置換基をもつ色素の方が速いことがわかった。(2)回復性については、枝分かれの置換基をもつものの場合、非常に速い回復を示し、TPPH_2とほぼ同じ回復速度を示した。
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