研究概要 |
本研究は最終年度に当たる本年度は,過去2年間の成果を踏まえ,これまで標準種(Selemastrum capricornutum)と標準検査培地(AAP培地)の組み合わせを中心に行ってきた酸素発生抑制試験を,標準培地に代えて自然水を用いたり,標準種に代えて自然水中に在来する藻類(在来種)を用いる形で行うことの可能性について検討した。 その結果,培地を自然水に変えて藻類は標準種を使用する試験は,概ねどのような自然水を対象とした場合でも可能であることが示された。また,自然水と在来種の組み合わせは,もともと栄養レベルが低く藻類の少ない自然水のように所定の期間で十分な酸素発生が得られない場合を除けば,試験が可能であることが明らかとなった。 また,標準種・標準培地,標準種・自然水ならびに在来種・自然水の3つの組み合わせについて同一物質に対する試験感度を比較したところ,それぞれで感度が異なり,在来種・自然水の組み合わせで行ったときに標準種・標準培地の組み合わせよりも10倍近く感度が高い場合があることが確認された。 このことから,一部例外はあるものの酸素発生抑制試験を自然水に適用することが単に可能というだけでなく,標準的方法に加えて実施する意義を示すことができた。
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