• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

放射線感受性遺伝子ATMの変異解析と類縁遺伝子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 10680512
研究機関京都大学

研究代表者

江島 洋介  京都大学, 放射線生物研究センター, 助教授 (50127057)

キーワード放射線感受性 / A-T / 突然変異 / ヒト腫瘍 / ATM遺伝子 / 日本人
研究概要

A-T(アタキシア・テランジェクタシア)は放射線高感受性のヒト遺伝病で、原因遺伝子は11番染色体q22.3領域から単離されたATM遺伝子である.本研究はA-T患者やヒト腫瘍細胞株で見られるATM遺伝子の突然変異の特性を調べてその放射線感受性形質との関連を調べるとともに、ATMと構造的な相同性を示す遺伝子の中から細胞の放射線感受性に関係する新しい遺伝子を同定することを目的とする.研究初年度にあたる今年度は、A-T患者とヒト腫瘍細胞株で見られるATM突然変異を解析しその特徴を明らかにすることに重点をおいた.解析対象としてA-T患者とヒトの固形腫瘍から樹立した細胞株を用いた.突然変異の検出と同定には、制限酵素フィンガープリント(REF)法とPCR-SSCP法を用いた.REF法はRT-PCRで得たcDM断片を制限酵素(Hinfl、Ddelなど)で切断後アクリルアミドゲル上で解析するもので比較的大きな欠失などの検出に用い、塩基置換変異などの検出にはPCR-SSCP法を用いた.8家系に属する10人の日本人A-T患者の全16アレルの突然変異が同定できた.12アレルの変異はREF法で、残り4アレルの変異はPCR-SSCP法で検出できた.エクソン欠失、微小欠失によるフレームシフト、並びにナンセンス型の塩基置換変異が大半を占め、A-Tの病因には機能喪失型の変異が優勢であることを示唆した.またエクソン33(4612del165)とエクソン55(7883del5)での突然変異は日本人患者の約半数を占める創始者効果突然変異(founder-effect mutation)であることが判った.大腸癌、網膜芽細胞腫などを含む25系のヒト腫瘍細胞株においてはA-T患者のような機能喪失型の変異は見られなかった.ミスマッチ修復欠損の大腸癌細胞株ではエクソン近傍の単一塩基リピートに欠失があり、エクソン12とエクソン22においてはこれに起因する異常mRNAの発現が見られ、現在放射線感受性との関連を解析中である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Y.Ejima: "Mutations of the ATM gene detected in Japanese ataxia-telangiectasia patients : possible preponderance of the two founder mutatons 4612del165 and 7883del5" Human Genetics. 102. 403-408 (1998)

  • [文献書誌] M.S.Sasaki: "The F value cannot be ruled out as a chromosomal fingerprint of radiation quality" Radiation Research. 150. 253-258 (1998)

  • [文献書誌] 江島洋介: "ヒトにおけるチェックポイント制御と癌" 実験医学. 16. 1184-1188 (1998)

  • [文献書誌] 江島洋介: "ATM(毛細血管拡張性失調症原因遺伝子)" 現代医療. 30. 1882-1887 (1998)

  • [文献書誌] 江島洋介: "細胞周期の新しい展開-チェックポイント制御と(野島博編)" 羊土社, 173 (1998)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi