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1999 年度 実績報告書

樹木年輪中の放射能および重金属による環境汚染の評価

研究課題

研究課題/領域番号 10680513
研究機関京都大学

研究代表者

青木 達  京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助手 (70027051)

研究分担者 片山 幸士  京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (30026512)
キーワード樹木 / 年輪 / 放射能 / 重金属 / 環境汚染
研究概要

原爆の黒い雨の降雨域で生育した広島産のスギおよび比較のため原爆の影響を受けていない山形県で生育したスギ樹幹中の^<90>Sr、 ^<137>Csを測定した。原爆の影響を受けた長崎産スギ樹幹中の^<90>Srの測定はすでに終えており、その結果から^<90>Srが辺材部で移動することを確かめている。
スギ樹幹中でSrがどのように移動拡散するか詳細に調べるため、生育中のスギに塩化ストロンチウム溶液(200mM、500ml)を注入し、PIXE分析法でSrの樹幹中での分布を調べた。注入は胸高部で辺材の中央部にあたる形成層から2cmの深さに注入し、約8月後に伐採した。注入した位置およびその2m、4m上方の部位から薄片を作成し、PIXE分析した。放射化分析法でCaの濃度と分布パターンを測定した。Srは心材、形成層のいずれの方向にも拡散したが大きく移動しなかった。注入部位より2m上方におけるSrの放射方向の分布は、注入部位における分布とよく似ていた。この結果からSrが上方へ容易に移動することがわかった。Caの放射方向の濃度分布をみると、Sr濃度の高い部位でCaが減少している。これは樹幹内で栄養元素で大量に存在するCaがSrで置きかわったものと考えられる。
スギ樹幹中の^<137>Cs分布はK元素の分布とよく似た結果となった。これはCsがアルカリ金属元素で化学的性質が似たKと同じような分布をしており同位体希釈で心材部でも容易に移動したと考えられる。
現在サクラとウメに関して健全木と生育不良木の樹幹中に存在するNa,K,Rb,Cs,Mg,Ca,Al,Cl,V,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,As,Se,Br,Cd,Sb,Pb などの元素を放射化分析法、PIXE分析法およびICP-MS分析法で測定した。樹木の生育に重金属元素がどのように影響しているか、環境汚染との相関があるかなどを検討中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Toru Aoki: "MEASUREMENT OF TRACE ELEMENTS IN TREE RINGS USING THE PIXE METHOD"Nuclear Instruments and Methods B. 136-138. 919-922 (1998)

  • [文献書誌] Toru Aoki: "Measurement of injected strontium in the stem of a Japanese ceder(Cryptomeria japonica D.Don) using PIXE"International Journal of PIXE. 8. 139-145 (1998)

  • [文献書誌] Susumu Koh: "LOSSES TO THE ELEMENTS IN PLANT SAMPLES UNDER THE DRY ASHING PROCESS"Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry. 239. 591-594 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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