1、 中景・近景(建築物など)の40ポイントの景観照明写真(神戸中心に照明普及賞受賞を含む)用い、調査ポイントの選定基礎資料とすべく、験者側から評価項目を選定・提示することなくレパートリー・グリット発展手法により、被験者10名(19〜23才)により「美しさ」の評価構造を抽出した。その結果、「細かい部分が見えない」-(全体のイメージがつかみやすい)、(輪郭がはっきりしている)、(対象物が際だつ)、「感動す」-(感覚に合う)、(雰囲気がよい)、(落ち着く)、「楽しい」-(いろいろな色が混ざっている)、(にぎやかである)、「建物が魅力的」-(芸術性が高い)、(すっきりしている)、「生活感がない」-(幻想的である)、(演出性が高い)、などであった。以上から景観照明では明確性、魅力性、感動性、芸術性、幻想性などが評価構造と考えられることが明確になった。 2、 20項目の感情・快適性要因を各7段階評価結果を、SD法(意味微分法)により因子分析を行い、景観照明の特徴づける要素として輪郭をフラクタル次元により定量化し検討した。評価項目「暗い-明るい」、「地味な-派手な」、「寂しい-賑やかな」などの評価得点が、フラクタル次元と相関係数が0.60以上で関連ずけられることが判明した。 3、 夜間照明対象物のデジタル写真から、(1)注視点の周辺部におけるカラーR・G・Bとモノクロの各2次元空間周波数特性を計算、周波数減衰係数特性、(2)フラクタル次元の計算値、(3)色彩色差計により、景観照明の特徴部の輝度と色度を計測・記録、(4)Color Cubic Palettenによる立方体による三次元表示の色彩分布などにより、物理量の多面的把握のための解析手順を検討中である。 4、 現有の簡易型脳波計の周波数スペクトル分析により、α波、β波、θ波、筋電図などを瞬時に処理・記録し、特にα波成分など生理特性と景観照明との関連の検討準備中である。 5、 次年度の実施調査による景観照明の具体的評価を迅速・効率的にするべく、中景(建造物)、近景、道路、街ゾーン(公園・広場・モニュメント)の光源・器具・手法など照明技術データを収集中であり、遠景照明展望場所および調査ポイントを検討中である。
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