研究課題/領域番号 |
10680518
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鈴木 啓司 長崎大学, 薬学部, 助手 (00196809)
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研究分担者 |
渡邊 正己 長崎大学, 薬学部, 教授 (20111768)
児玉 靖司 長崎大学, 薬学部, 助教授 (00195744)
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キーワード | ATM / p53 / リン酸化 / MDM2 / 放射線 / 分子生物学 / 放射線生物学 |
研究概要 |
1. 正常ヒト細胞におけるATM蛋白質活性化機構の解析 抗ATM蛋白質モノクローナル抗体を用いた実験により、ATM蛋白質は恒常的に核に存在する核蛋白質であり、放射線照射後もそのレベルは不変であることを明らかにした。2本鎖DNA-セルロースを用いたプルダウンアッセイにより、ATM蛋白質が2本鎖DNAに親和性を持つこと、X線照射DNAに対してその親和性が増加することを見いだした。以上のことから、放射線により誘発されたDNA損傷部位にATM蛋白質がリクルートされ、p53蛋白質をリン酸化すると考えられた(投稿中)。 2. 正常ヒト細胞における放射線照射によるp53蛋白質蓄積動態の解析 X線照射後のp53蛋白質の蓄積を検討したところ、線量に応じて動態が異なることを見いだした。4Gy以下では照射後2時間と8時間に2つのピークが見られる2相性の蓄積であるのに対し、6Gy以上の線量では最初のピークのみを確認した。p53蛋白質下流のMDM2蛋白質の解析から、線量依存的なp53蛋白質の蓄積動態がMDM2蛋白質の発現に依存することを発見した(投稿中)。また、照射後のp53蛋白質の蓄積に、ウォルトマンニン感受性のリン酸化経路が関与していることを阻害剤を用いた実験から明らかにした。以上の結果から、X線照射後のリン酸化によりp53蛋白質は蓄積するが、その後のレベルは線量に依存したMDM2蛋白質の発現動態によって制御されていることを示した。 3. S-Tag付きp53蛋白質発現ベクターの作成 野生型p53遺伝子を含むDNA断片をphp53Bプラスミドより回収し、S-Tag蛋白質遺伝子を持つ大腸菌発現ベクターpET29プラスミドに組み込んだ。p53遺伝子はS-Tag遺伝子の下流に互いのコドンが合致するように挿入した。その後、S-Tag/p53遺伝子領域を含むDNA断片を再度切り出し、哺乳類細胞用の遺伝子発現誘導ベクターであるpINDに導入している。
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