研究課題/領域番号 |
10680519
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
山下 樹三裕 長崎大学, 環境科学部, 助教授 (50192399)
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研究分担者 |
谷山 紘太郎 長崎大学, 医学部, 教授 (70030898)
山下 康子 長崎大学, 医学部, 助手 (80291532)
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キーワード | 環境ストレス / TCDD / ラット脳 / 血液-脳関門 / コミュニケーションボックス / 運動活性 / 摂食 / 飲水 |
研究概要 |
諸種環境ストレスの脳機能に及ぼす影響を調べ、血液-脳関門の破綻を含む脳保護機構破綻の機序に如何なる因子が関与しているのかを解明していくのにあたり、まず、ダイオキシン(2、3、7、8-テトラクロロジベンゾ-p-ジオキシン;TCDD)の摂食、飲水、運動活性に及ぼす影響を、ラットを用いて検討した。7週齢のWistar系雄性ラットにTCDDlμg/kg/weekを経口投与し、摂食・飲水・運動活性測定装置に入れ、経時的に各パラメーターを測定した。なお、対照群には溶媒を経口投与した。その結果、TCDD投与群は対照群に比べ体重増加の抑制が認められた。また、投与2週後より運動活性の日内リズムに変調が認められる例も現れ始めた。しかし、摂食、飲水にはTCDD投与の影響はまだ認められていない。なお、まだ測定進行中であり、例数追加中であるので統計処理は行っていない。次に、コミュニケーションボックスを用いて、ラットに精神的ストレスを負荷し、身体的ストレス負荷群およびいずれも負荷しないインタクト群との間で血液-脳関門の透過性に差があるのか、脳の部位ごとに分けて検討した。指標としては、静脈内に投与したエバンスブルー色素の脳実質内への移行を蛍光光時計を用いて測定した。その結果、大脳皮質、海馬、線条体の3部位でストレス負荷群に色素の透過性亢進が認められた。さらに、この色素透過性の亢進は精神的ストレス負荷群の方が高かった。したがって、ストレス負荷により血液-脳関門の一部に破綻が起こったものと推察される。このことより、TCDD投与群に精神的または身体的ストレスを負荷した場合、TCDDの運動活性に及ぼす影響が大きくなる可能性が示唆される。現在、TCDD投与量の低用量の設定も含め、すでに実験に着手している。
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