研究課題/領域番号 |
10680522
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
森 洋樹 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (80001056)
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研究分担者 |
金光 兵衛 北海道医療大学, 薬学部, 助手 (00265084)
林 英幸 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (00103193)
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キーワード | デイーゼル排気粒子 / Th2活性化 / 内分泌かく乱作用 |
研究概要 |
デイーゼル車はガソリン車に比べると30倍から50倍の粒子状物質(DEP)を排出し、DEPはNOxと共に、都市部における大気汚染の主要な原因となっている。DEPは気管支喘息や肺癌発症に関わっていることが指摘され、更に近年、DEPの内分泌かく乱作用、生殖細胞に対する影響が注目されている。我々はこれまでの研究において、DEP成分が活性酸素を産生させること、カタラーゼ活性を阻害すること、即ち、活性酸素の生成と分解の阻害によって生体に障害を与える可能性を指摘した。DEPの生体に対する影響とその機構を解析するためには、DEP成分を系統的に分離し、生理活性を有する化合物の性質を明らかにする必要がある。今年度の研究において我々は、l)DEP成分の系統的分離法の確立、2)DEPのエストロゲン作用及び抗エストロゲン作用の評価、3)DEP成分によるへルパーTリンパ球(Th2)の選択的活性化、等の項目について研究を進めた。 その結果、l)DEP成分をへキサン(H)、ベンゼン(B)、ジクロロメタン(D)、メタノール(M)、アンモニア水溶液(A)で順次抽出し、シリカゲルカラムクロマト、高速液体カラムクロマト等の方法によって生理活性を有する物質を分離する方法を確立した。2)BとD、M抽出液に抗エストロゲン作用が認められた。これらの成分は生体の内分泌系に障害を引き起こす可能性がある。3)DEPのD、A抽出物には、Th2を選択的に活性化する因子が含まれていることが明らかとなった。 この研究の結果は、DEPが多くの生理活性を有する成分を含み、内分泌かく乱作用、抗体産生促進など種々の機序によって生体に障害を与える可能牲を示唆している。
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