研究課題/領域番号 |
10680524
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
石原 陽子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (50203021)
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研究分担者 |
郡 和宏 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60287315)
青柴 和徹 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (60231776)
丸山 良子 宮城大学, 看護学部, 助教授 (10275498)
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キーワード | 体液性免疫 / 細胞性免疫 / 加齢 / 呼吸器疾患 / 環境有害物質 / 急性気管支炎 / リンパ球表面マーカー / 血清グロブリン |
研究概要 |
今年度は、若齢と老齢マウスの急性気管支炎モデルを作成し、各種環境有害物質を暴露して細胞性免疫と体液性免疫の変動について検討した。 1.若齢と老齢マウスに5日間の塩化ニッケルエアロゾル暴露を行って発症した急性気管支炎の肺病理所見では、その炎症の程度は同等であった。 2.その際の免疫系の変動についての検討では、若齢群では細胞性免疫及び体液性免疫指標には明確な変動を認めず、胸腺の体重比が有意に減少した。それに対して、老齢群では細胞性免疫及び体液性免疫指標の明らかな変動を認めた。 3.正常、若齢と老齢急性気管支炎マウスへの3時間、0.8ppmオゾン暴露では、肺病理所見の炎症の程度は、正常群<若齢急性気管支炎群<老齢急性気管支炎の順であった。オゾン暴露による免疫指標の変動では、老齢急性気管支炎群で、体液性免疫指標である気管支肺胞洗浄液中のIgA及び血清IgMの有意な上昇を認めた。 4.老齢急性気管支炎マウスへの、関東ローム粉あるい低濃度バナジウムエアロゾルの2時間暴露では、関東ローム粉群ではBAL中の総蛋白量と好中球の有意な増加、肺組織MIP-1α mRNA発現量の低下を認めたのに対し、バナジウム投与群では、BAL中の蛋白量や細胞分画像には明確な影響を認めず、肺組織でのMIP-1αとMCP mRNA発現量の有意な低下を認めたのみであった。 以上の実験成績から、急性気管支炎動物では免疫系に加齢影響が認められ、老齢動物や肺疾患老齢動物を用いて環境有害物質の毒性評価を行う際には、細胞性免疫のみならず体液性免疫指標も加えて評価する必要があることが示唆された。
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