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1999 年度 実績報告書

河川の底生動物の成長と行動に対する化学物質の長期低濃度暴露影響

研究課題

研究課題/領域番号 10680530
研究機関国立環境研究所

研究代表者

多田 満  国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 主任研究員 (00188252)

キーワード慢性影響 / フェノブカルブ / 営巣行動 / 成長 / ウルマーシマトビケラ / 羽化 / 個体群 / 人工水路
研究概要

本研究ではこれまでに室内実験用水路での短期間の急性毒性影響試験が可能となったHydropsyche orientalis(ウルマーシマトビケラ)幼虫の個体群を用いて、餌条件下でのカーバメイト系殺虫剤、フェノブカルブの1〜16μg1_<-1>の濃度で連続暴露をおこなうことで、野外で検出される比較的低濃度の農薬の影響を個体群レベルでその幼虫の営巣行動、成長と羽化に対する影響を評価した。
営巣固着性のウルマーシマトビケラ幼虫(薬剤感受性種、2、3令幼虫)を20個体ずつステンレス製の篭(底面10×15cm)に入れ、各濃度(対照、1、2、4、8、16μg1_<-1>)の実験水路に保持して、フェノブカルブの個体群レベルでの営巣行動、成長と羽化に対する生態影響を調べた。対照(0)、1、2μg1_<-1>の濃度では実験開始1日後にほぼ100%の個体で営巣が確認された。4μg1_<-1>以上の濃度では営巣しない個体が見られ16μg1_<-1>の濃度ではすべての個体が営巣しなかった。4、8μg1_<-1>の濃度では営巣の不完全な個体が各篭あたり5〜10個体みられた。対照では、実験開始40日後から蛹化がみられ、すべての個体が羽化するまでには80日間要した。1、2μg1_<-1>の濃度では、幼虫のまま死亡した個体も数頭みられたが、4、8μg1_<-1>の濃度では蛹化できず幼虫のまま死亡した個体が全体の30〜50%を占めた。また蛹の段階で死亡した個体もみられ羽化率もそれぞれ22、10%であった。16μg1_<-1>の濃度ではすべての個体で実験開始1週間以内に死亡が確認された。このように、フェノブカルブは、ウルマーシマトビケラ幼虫の営巣行動や成長、羽化に対して水田地帯では野外で検出されうる比較的低濃度(1〜8μg1_<-1>)で影響を及ぼすことが示唆された。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] TADA M.and HATAKEYAMA S.: "Chronic effects of an insecticide, fenobucarb, on the larvae of two mayflies, Epeorus latifolium and Baetis thermicus, in model streams"Ecotoxicology. 8(in press). (1999)

  • [文献書誌] TADA M.: "Effects of insecticide, fenobucarb on the benthic macroin vertebrates in model stereamas"Acta Hydrobiologica Sinica. 24(suppl)(in press). (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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