NPAT遺伝子産物の機能解析の1つとして、核局在シグナルの解析を行った。NPAT遺伝子とGreeen Fluorescein Protein (GFP)遺伝子のキメラ遺伝子を作製して培養細胞に導入し、その局在を調べた。まず、NPAT遺伝子産物のC末端領域には塩基性アミノ酸が4つ連続する典型的な核局在シグナルが1368KKRK1371、1397KKKK1400、1401KKKK1405の3ヶ所存在することから、NPAT遺伝子の全長(1〜1427アミノ酸)とこれらのシグナルを除いたD1(1〜1366アミノ酸)をGFP遺伝子につなぎ、cos7細胞に導入してGFPの局在を調べたところ、全長は核のみに局在していたがD1は核と細胞質の両方、すなわち細胞全体に局在が認められた。次に、これらの核局在シグナルのいずれが必要であるかを調べたところ、どのシグナルが欠けても核のみへの局在が認められなくなることから、3つのシグナル全てが核局在に必要であることが明らかとなった。さらに、D1はNPATの1366アミノ酸とGFPの241アミノ酸の合計1607アミノ酸からなる巨大なタンパク質であるにも関わらず核への移行が観察されることから、拡散などの受動的な移動によるものではなく、他の核局在シグナルが存在するために核へ移行したと考えられた。そこで、D1からN末端側に欠失変異体を作製し、cos7細胞に導入してGFPの局在を調べたところ、D7(1〜974アミノ酸)まではD1と同様に細胞全体での局在が認められたが、D10(1〜923アミノ酸)よりもN末端側に欠失させた変異体では細胞質のみで局在が認められたため、NPAT遺伝子産物の924〜974アミノ酸の領域にも核局在シグナルが存在すると考えられた。
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