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1999 年度 実績報告書

貯水池の自然由来有機物質の起源分類およびTHM生成能との関係

研究課題

研究課題/領域番号 10680535
研究機関東京大学

研究代表者

古米 弘明  東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)

研究分担者 中島 典之  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30292890)
大瀧 雅寛  お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (70272367)
キーワード自然由来有機物質 / トリハロメタン生成能 / 貯水池 / 分子量分画 / 熱分解GC / MS / 底泥 / 藻類 / 溶出
研究概要

1.NOM成分分析手法の確立
前年度に引き続きNOM成分分析手法の確立を行った。昨年度検討した熱分解GC/MSによる構造解析に、分子量分画手法であるGPCを組み合わせた分析システムを確立した。さらに、津久井湖のように溶存有機物濃度が極めて低濃度である資料を分析するための、逆浸透膜と凍結乾燥による試料濃縮手法も合わせて確立した。この手法により、従来のDOCやTHM生成能、紫外吸光度に加えて、パイログラムと分子量分布、これらの指標の分子量画分ごとの値が得られることになり、多角的にNOM成分を評価できることになった。
2.貯水池底泥からのNOM成分の評価
貯水池水中NOMの主要な起源の一つと考えられる底泥について詳細に検討した。津久井湖において採取した底泥からの溶出実験を嫌気、好気両条件下で振出法により行い、溶出される有機物の解析を行った。
溶出時間の経過とともに溶出水中のTHM生成能は上昇し、21日目までに好気条件で300μg/L、嫌気条件で764μg/Lまで増加した。DOCに関しても同様の増加傾向を示し、21日目には好気条件で10.1mgC/L、嫌気条件で23.4mgC/Lに達した。これらの結果から、見かけ上、嫌気条件下でより多くの有機物が溶出し、高いTHM生産能を示すことが分かった。一方、DOC当たりのTHM生成能(THM生成能/DOC)は嫌気、好気での差も、時間的な変動も大きくなく、その値の平均値は34μg/mgであった。分子量分布(260nm紫外吸光で検出)で比較すると、嫌気条件ではPolystyrene sulfonate換算分子量で10^5、10^3、10^2〜10^3の3つのピークが認められ、好気条件ではこれらに加えて、さらに10^2付近に大きなピークが認められた。嫌気条件下の方がTHM生産能が高いことから、好気条件下で認められた10^2付近のピークは、260nm紫外部吸光を有するがTHM生成に関与しない有機物であると考えられる。このように、嫌気、好気の各条件で溶出される有機物の質に関して、従来の手法であるTHM生成能/DOCという観点では差が認められなかったのに対し、分子量分布という新たな観点からは明らかな違いが認められた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 中島典之: "貯水池内溶存有機物の分子量分布およびトリハロメタン生成能の季節変動"水道協会雑誌. 69・4(印刷中). (2000)

  • [文献書誌] THAPA Phatta Bahadur: "Characterization of organic matter released from bottom sediment of a drinking water reservoir under aerobic and anaerobic conditions"第34回日本水環境学会年会講演集. (3月発売予定). (2000)

  • [文献書誌] 中島典之: "津久井湖底泥溶出水のトリハロメタン生成能と有機物分子量分布"第51回全国水道研究発表会講演集. (3月発売予定). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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