研究概要 |
浸漬型膜を用いる膜分離活性汚泥法は,従来型のクロスフローろ過と比べて膜ろ過に要するエネルギーを大幅に削減できる膜分離プロセスとして期待されている。しかし,従来法と同様に膜面付着層の形成により膜透過性能が低下するという問題点がある。本研究では,昨年度まではクロスフローろ過における膜透過性能に関する研究を行ってきた。今年度は,昨年度までの手法を浸漬型膜分離活性汚泥法に応用し,浸漬型法における膜透過性能低下のメカニズムやそれらに影響を与える因子を明らかにすることを目的として,人工基質を用いて連続実験を行い,基本的な運転パラメーターである設定フラックス,曝気強度,及び汚泥負荷の膜透過性能への影響を検討した。用いた分離膜は分画孔径が0.4μmの平膜(ポリオリフィン系精密ろ過膜)である。その結果,以下の知見が得られた。 1.設定フラックスの影響 設定フラックスは吸引圧力を変えることによって変動させた。設定フラックスが高いほど膜透過流束の低下率が大きくなった。因子別にはケーキ・ゲル層抵抗の増大が大きな影響を与えており,それにはECP(細胞外ポリマー)付着量の増加が寄与していた。 2.曝気強度の影響 曝気強度が低い場合だけでなく高すぎても膜面抵抗が増大し,膜透過性能が低下した。膜面抵抗の増大は,曝気強度が低い場合は膜面付着層の形成阻止効果を発揮できなかったことに,高すぎた場合はフロックの細分化に伴って強固な膜面付着層が形成されたことに各々起因した。 3.汚泥負荷の影響 初期の設定汚泥負荷が高いほど,膜面抵抗や膜面付着物量が増大し,膜分離能は低下した。膜分離能の低下を回避するには混合液の引き抜きが有効である。
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