研究課題/領域番号 |
10680545
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田村 坦之 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90029257)
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研究分担者 |
赤沢 克洋 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (70304037)
田地 宏一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 講師 (00252833)
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キーワード | 温暖化対策 / 二酸化炭素排出抑制 / 投入産出分析 / 炭素税 / エネルギー税 / 排出権取引き / 環境経済政策 / 政策評価 |
研究概要 |
本研究は二酸化炭素を初めとする地球温暖化ガス排出抑制のための環境経済政策を評価するための数理モデルを開発し、その分析を試みることを目的としている。 平成10年度には、地球環境問題を対象にして、物財の均衡を産業連関分析の動的モデルとして開発した。これを動的線形計画問題の主問題と考え、その双対モデルに着目して価格の均衡を並行して議論することによって、複数計画期間にわたる炭素税とエネルギー税が、二酸化炭素排出総量を抑制する上でいかに有効な環境経済政策となるかを分析した。平成11年度には、京都会議において決定された二酸化炭素排出総量の削減目標を、炭素税のみによって達成しようとした場合に、炭素税およびエネルギー税が物価と国際競争力に及ぼす影響を分析した。その結果、炭素税とエネルギー税の導入による価格上昇に関して、産業ごとのばらつきが存在し、中でも鉄鋼業には相当の影響が及ぶことがわかった。また、国際競争力について、日本のみ税を導入すると日本の産業の価格競争力は低下するが、各国が同率の税を導入した場合には、逆に日本の競争力が上昇することがわかった。 本年度は、炭素税による税収を、排出権の購入や消費税に還元したときの効果を分析した。そこでは、日米英仏独の先進5カ国の産業連関を考慮し、各国の利潤最大化行動を、国内取引と国際取引のもとでモデル化した。そして、わが国では京都会議における二酸化炭素削減目標達成のためのシナリオとして次の4つのケースを比較した。 シナリオ1:炭素税の導入 シナリオ2:炭素税を導入し、税収をすべて消費税に還元 シナリオ3:炭素税を導入し、税収の一部で排出権を購入 シナリオ4:炭素税を導入し、税収の一部で排出権を購入し、残りを消費税に還元 その結果、産業間格差を縮めることと投資効率を高めるうえで、シナリオ4が最も好ましいことがわかった。 また、非確定要因を考慮した通勤・通学交通手段選択ロジットモデルを開発し、通勤通学者を自動車から公共交通機関にモーダルシフトさせるためのいくつかの政策を評価した。
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