平成11年7月22日から8月23日にかけて、宮古島佐良浜に滞在し現地調査をおこなった。途中一部、石垣島においても同様の調査をした。 漁師とダイビングショップは昨年のような緊張関係もややうすらぎ、関係者から直接インタビューをすることができた。インタビューはおもに漁協・観光業者・行政の関係者を対象におこない、海域利用の実態、利用の棲み分けに関する意見、観光と漁業にたいする考え、環境問題への視点など中心に話を聞いた。 数年前に問題が表面化した時点では、人間関係の軋轢がしばしば取り上げられており、その背景には複雑な利権もからんでいるといわれた。しかし、それとは別に観光資源という新しい海の利用の登場にともなう伝統的な漁業者の、未知への危機感があったことは強調しておいてよい。 一日の漁師の漁業活動と、観光ダイバーの移動のしかたはきわめて対称的であった。漁師は朝に天候や潮まわりから漁撈をするルートを定め、頻繁に潜水を繰り返しながら個人が分散して広範囲の海域を移動していく。それに対して観光ダイバーは、複数の船が一ヶ所に集まり、移動することも少ない。 こうした振舞いの違いによって、当初は、互いの行動を予測する事が難しく、相手の行動が妨害だと考えることが多かったようだ。しかし、今回の調査でえられた両者の望む海の利用のデータを整理するうちに、互いの活動の連絡をとりあい、地域的にまた時間的に利用海域棲み分けることが可能なのではないかという結論にいたった。
|