研究概要 |
5・6月にかけて、新潟大学臨海実験所(佐渡)で採取した、アメフラシ卵塊(1kg)よりクロロホルム:メタノール:水混液により脂質を抽出し、得られた糖脂質分画よりイヤトロビーズカラムクラマトグラフィーにより卵特異糖脂質Egg Mass Glycolipid II(EGL-II)9mgを得た。 EGL-IIの構造解析について以下の事が明らかになった。 1. アミノ酸アナライザーによるニンヒドリン陽性物質の定性、定量分析結果2-AEPn:g1ucosamineのモル比が3:1である。 2. セラミド部分はパルミチン酸とステアリン酸(脂肪酸として)と、長鎖塩基は主にanteisononadeca-4-sphingenineから成る。 3. 糖組成は、EGL-HとHF分解により2-AEPnを除いたHF-treated EGL-IIのメチルグリコシドの分析結果より、Glc/Gal/3-0-MeGal/GlcNAc(1/5/1/1)の8糖から成り、Glcと2モルのGalに2-AEPnが結合している.FAB-MSのデーターは、この結果を更に確証した。 4. NMR分析の結果β-Glc,β-Gal,α-GlcNAc,α-Galx4のanomeric protonが得られた。 5. 抗EGL-I antiserum(α3-O-MeGalを認識する)によるTLC-immunostainingの結果は3-O-MeGalが非還元末端にあることを示す。 6. HF-treared EGL-IIのメチル化分析の結果、2,3,4,6-Me-Gal,2,3,6-Me-Glc,2,4,6-Me-Gal,4,6-Me-Gal,3,4,6-Me-GlcNAcが得られた。 以上の結果よりEGL-IIは8糖からなるtriphosphonoglycosphingolipidであるが、完全な構造解明には至っていない。
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