研究課題/領域番号 |
10680572
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
井上 謙一郎 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40025713)
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研究分担者 |
林 宏明 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (50260998)
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キーワード | イリドイド配糖体 / ロガニン / 生合成 / スイカズラ / 脱分化 / 培養細胞 / 水酸化酵素 / シトクロムP450 |
研究概要 |
本研究では、脱分化した培養細胞においてイリドイド配糖体の生合成に関与している酵素がどこまで発現しているかを突き止め、存在する生合成酵素の諸性質を明らかにすることを目的とし、今年度はスイカズラ培養細胞における同配糖体生合成に関与する酵素、7-デオキシロガニンの水酸化酵素の諸性質の解明と欠損生合成酵素の特定を試みた。まず、本酵素のアッセイ系を確立し、その局在性を検討したところ、本酵素は膜結合性であることがわかった。さらに本酵素の性質として、至適pHは7.5、基質である7-デオキシロガニンに対するkm値およびVmax値は各々0.116mMと12.47pkat/mg proteinまた補酵素NADPHに対するKm値およびVmax値は各々0.018mMと8.33pkat/mg proteinであった。本酵素は基質とNADPHの他に分子状酸素を要求することからシトクロムP450酵素である可能性が示唆された。そこで、一酸化酸素およびアンシミドールをはじめとするシトクロムP450酵素の阻害剤の本酵素への影響を検討したところ、本酵素は一酸化炭素によってもまた今回使用したいずれの阻害剤によっても阻害された。したがって本酵素はシトクロムP450水酸化酵素であることが明らかとなった。さらに、基質特異性の実験で、7-デオキシロガニンとその11位カルボン酸体のみを基質とし、後者を基質とした時の酵素活性は前者の場合の約50%であった。一方、最近、同培養細胞より得た粗メチル転移酵素はロガニン酸をメチル化するが、デオキシロガニン酸はメチル化しないという予備的結果を得た。このことは、先の酵素レベルでの結果とは異なり、細胞内ではデオキシロガニン酸が新の基質であることを示す。従って、セコロガニンの生合成の後半の経路は、デオキシロガニンがまず水酸化されてロガニン酸となり、この酸がメチル化された後にシクロペンタン環の酸化的開環が起こり、セコロガニンが生成するものと推定される。
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