研究概要 |
糖タンパク質の生理機能を明らかにするために、糖タンパク質を構成している糖鎖の水溶液中の立体配座を解析した。昨年度の研究では、オリゴ糖の立体配座を^1H-NMRの磁気異方性効果を利用して解析するために、効率よくオリゴ糖の全プロトンの解析を支援するプログラムの開発をGalβ1-3GalNAC-PA及びGalβ1-3GalNAc-olを用いて行った。本年度は、この方法を用いて更に長い糖鎖の糖アルコールと相当するPA化糖の^1H-NMRスペクトルを解析し、それらのデータの比較から磁気異方性効果による影響を検討した。この磁気異方性効果の影響と分子力学計算を利用した配座発生法から得られた構造が最も良く一致する配座を探索することにより、水溶液中のオリゴ糖の立体配座を決定した。 1. NeuAcα2-3Galβ1-3GalNAc-PA,NeuAcα2-3Galβ1-3GalNAc-olの600MHz ^1H-NMRスペクトルを測定し、全水素を解析した。 2. 上記-PAと-olの脂肪族骨格プロトンを比較して、高磁場又は低磁場シフトしているものを選択し、その中でピリジン環による磁気異方性効果が現われているプロトンを選んだ。 3. 上記-PAの可能な配座異性体を、分子力学計算法(MM2)を用いるモンテカルロ法配座発生プログラムで計算し、この中で^1H-NMRスペクトルの測定結果と一致するものを選び、立体構造を決定した。
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