研究課題/領域番号 |
10680591
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
岡山 實 京都産業大学, 工学部, 教授 (90158816)
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研究分担者 |
吉田 圭一 生化学工業株式会社, 糖質プロジエクト, 主任研究員
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キーワード | 細胞外マトリックス / フィブロネクチン / インテグリンα_5β_1 / シンデカンファミリー / シンデカン-2 / ストレスファイバー / 細胞増殖 / ラフリング膜 |
研究概要 |
マウス・ルイス肺癌由来の高(H11)、低(P29)転移性株細胞は、生体内において前者は基底膜依存的な、後者は間質型細胞外マトリックス依存的な組織形成を示す。培養下においては、フィブロネクチン(FN)基質接着依存的に、P29細胞はストレスファイバー(SF)形成を、H11細胞はラフリング膜(RM)形成を示す。このFN接着応答における差異は、その基質に対してP29細胞はインテグリン(int)α5β1とシンデカン(syn)2を介して、H11細胞はintα5β1のみを介してFNに結合することによる。即ち、P29細胞はsyn2高発現株であるのに対して、H11細胞は低発現株である。本研究助成による本年度の研究は、これらの株細胞を用いて研究計画通り進み、以下の成果が得られた。 1. P29細胞とH11細胞は、両者共シンデカンファミリー全メンバーを発現している(RT-PCR解析による)が、syn2タンパクmRNAのみの発現は前細胞において後者の約10倍高かった(ノーザンブロット解析による)。 2. syn2cDNAをH11細胞に導入後、P29細胞と同程度syn2を発現している細胞をクローン化し、安定発現株として樹立した後、各々について、(1)FN接着に際しての細胞骨格形成及び、(2)細胞増殖について解析を行った。その結果、(1)syn2cDNA導入H11細胞はP29様細胞に変換しており、FN接着依存的にSF形成を示すと共に、(2)細胞倍加時間もP29細胞の倍加時間にまで促進されていた。 3. syn2アンチセンスオリゴヌクレオチドをP29細胞に導入することによりsyn2発現を抑制し、H11細胞と同程度のsyn2を発現している細胞をクローン化し、安定発現株を樹立した後、FN接着依存的細胞骨格形成の解析を行った。その結果、変換P29細胞は、H11細胞同様RM形成を示した。 4. P29細胞におけるsyn2細胞質ドメインのセリン残基のリン酸化分析の結果、リン酸化度は、FN非接着細胞の方が接着細胞より3倍高い値を示し、SF形成の誘導は、syn2タンパク芯の脱リン酸化に共役した現象であることが示唆された。
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