研究概要 |
我々はすでに輸送小胞膜タンパク質の一つ、VIP36がMan6-9/Ac2-peptideを認識しており、Manα1→2残基がVIP36との結合に重要であることを明らかにしてきた。 我々は次にマメ科レクチンと相同性があり、糖結合に必須のドメインに存在するアスパラギン残基をアスパラギン酸残基に変えた変異VIP36を作製し、変異VIP36の糖結合能が消失することをin vitroのアッセイにおいて確認した。そこで高マンノース型糖鎖を認識する野生型VIP36およびレクチン活性を失った変異VIP36のcDNAをそれぞれMDCK細胞に導入し、大量発現株(+VIP,mVIP)をそれぞれ単離した。+VIP株はVIP36のアピカル側への局在が野生株に比べて増加し、それに伴い分泌タンパク質ならびに膜タンパク質の高マンノース型糖鎖も同様にアピカル側により高い局在性を示した。一方でmVIP株において、mVIPは+VIPと同様にアピカル側に多く発現しているものの、高マンノース型糖鎖の局在はmVIPの局在変化に影響されず、野生株と同様に存在した。これらのことからVIP36は高マンノース型糖鎖を持つ糖タンパク質の細胞内輸送に関わっていることが示された。 また、抗VIP36抗体を用いて、腎臓や組織染色してみたところ、VIP36は遠位尿細管特異的に発現しており、近位尿細管や糸球体にはほとんど存在していないことが明らかとなった。外界に接する遠位尿細管に特異的に発現していることからVIP36あるいは高マンノース型糖鎖と生体防御との関連が考えられた。
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