本研究では、アポトーシス誘導シグナル伝達に関わる分子のうち、デス-エフェクター-ドメイン(DED)を有するFADD・Caspase-8・Casperやウイルス由来のMC159・E8について、異分子間や同分子間の相互作用におけるドメイン構造の特異性や親和性について解析を行った。まずマウスCaspase-8 cDNAを単離し、この遺伝子に存在する繰り返した2つのDED構造について調べた結果、繰り返し構造がアポトーシスを誘導するのに必要不可欠であることがわかった。DED構造を一つのみもつCaspase-8の変異体では、アポトーシス誘導能が認められなかった。一方、ウイルス由来のMC159やE8の場合もアポトーシス抑制性作用を示すためには、繰り返した2つのDED構造が必要であり、単独で発現した場合には機能しないことがMC159の変異体を用いた実験により明らかとなった。この両分子のキメラから成るDEDの場合はそれぞれの特異性を半減させる結果となった。本研究によって、DEDをもつ分子が機能するためには繰り返した2つのDED構造が必要であり、それぞれの特異性を示すのはDED内のアミノ酸配列に負うことが明らかとなった。 また本研究で新たに同定したDED構造をもつ遺伝子(仮称2NbMT)について調べた結果、この遺伝子は特に精巣でその発現が高いことが判明した。各組織での発現パターンから推察すると、2NbMTは上述の分子とは異なった機能を有する可能性が考えられた。
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