研究概要 |
(1)グルタチオン及びその関連ペプチドのHPLCによる同時高感度定量法の開発 グルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly,以下GSH)はL-Glu及びL-Cysよりγ-Glutamylcysteine synthetaseによりγ-Glu-Cysが生成され,その後Glutathione synthetaseにより生合成されることが知られている。生体内でGSHの生理的意義を明らかにする上でGSHだけでなく,これら関連ペプチドの挙動を明らかにすることは大変重要であると思われる。そこでこれらのペプチドの還元型及び酸化型の同時定量法の開発をABD-F及びSBD-Fを用いて行った。その結果,還元型及び酸化型GSH,Cys,CysGly,γ-GluCys,Homocysteineの10種類について定量を行った結果,良好の分離パターンが得られた。これらの物質について回収率は90%以上であり,また検出限界は最もよい酸化型CysGlyで20fmolであった。 (2)酸素濃度変動によるグルタチオンの上昇機構について 虚血後の再環流時見られる細胞外酸素濃度の上昇により細胞内GSH量が上昇することを,ヒト肝癌由来Hep G2細胞を用いて明らかにした。これはGSH生合成の律即酵素であるγ-Glutamylcysteine synthetaseの活性化によるものであり,この活性化は遺伝子レベルで制御されていた。
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