研究概要 |
筆者はPhotobacterium属発光細菌を用いた研究で、luxオペロンの機能は、耐塩性フラボドキシンとして失活メチオニン合成酵素の再活性化を行うFP_<390>の生産であると結論した。Photobacterium属以外の発光細菌ではFP_<390>をコードするluxF遺伝子がないのでルシフェラーゼ断片がFP_<390>相当タンパク(FP_<390>EP)として機能していると考えた。これを確認するためV.fischeri ATCC 7744株からFP_<390>EPを単離した。 P-フラビン(PF)を目印にしてDEAEカラム、ゲルろ過、疎水性相互作用カラムを用いてF_<390>EPをSDS-PAGE上で1本のバンドにまで精製できたので本タンパクの性質を調べた。N末端30残基のアミノ酸配列を決定したところ標品は等量の2本鎖の混合物であり、それぞれルシフェラーゼのαおよびβ鎖の配列に一致した。FP_<390>EPのMALDI-TOFマススペクトルを測定したところm/z=37,500付近にピークが観測されたが、m/z=40,000付近にはピークは観測されなかった。無傷ルシフェラーゼの分子量はα鎖:40,310、β鎖:37,209であるので今回精製したFP_<390>EPはβ鎖は無傷、α鎖はC末端約25残基が削除されたものであることがわかった。FP_<390>EPの吸収スペクトルは還元型フラビン類似であった。FP_<390>EPのESI-TOFマススペクトル(陰イオンモード)を測定したところm/z=683.30が得られ、本値は(PFH_2-H)^-に一致し、補欠分子族は還元型PFであることが確認された。なお、従来Photoexcitableルシフェラーゼと命名された標品はFP_<390>EPに一致すると考えられる。 FP_<390>EPがVibrio属発光細菌に存在し、PFは還元型であった。本結果は筆者のluxオペロンの機能に関する提案を強く支持する。
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