研究概要 |
本プロジェクトは名古屋大学理学部の御橋研究室から当研究室に移管された20年以上前のナノ秒時間分割蛍光光度計を修理して蛍光寿命測定を可能にし、筋肉タンパク質のアクチン、ミオシン、トロポニン、あるいはトロポミオシンの特定のアミノ酸殘基に蛍光色素をラベルし、これら色素間の蛍光エネルギー移動を定常励起光蛍光測定とナノ秒時間分割蛍光寿命測定の2つの方法により行うことにより、これらタンパク内あるいはタンパク間の2つの色素の間の距離や距離分布を様々な生理活性状態に応じて求めることにより、筋タンパクの生理活性と動的な構造変化との関連について調べることである。 この為にTiming to Amplitude Converter(Ortec 457),ヘッドオン型光電子倍増管やMulticahnnnel Analyzerは修理不能の為これらを新しく購入し、装置のセットアップをほぼ完了したもののまだこの装置を使っての成果はでていない。一方、蛍光測定の為のサンプルとして、変異トロポミオシン及びトロポニンサブユニットを大腸菌を使って大量発現し精製して、これら変異トロポミオシンやトロポニンサブユニットを使って、カルシウムイオン濃度変化によるトロポミオシン―トロポニンによる調節のメカニズムについての構造にもとづいた情報を得る為の蛍光エネルギー移動測定を行い、これらデータから筋収縮のトロポニン―トロポミオシンによる阻害においては、TnIとアクチンのouter-domainとの安定な複合体形成が重要であることが分かった。本プロジェクトにおいては、いくつかの研究成果は得られたが、当初計画していた研究目的については、未だ60%程度しか達成されていない。今後は、蛍光寿命測定装置を使っての蛍光エネルギー移動測定や、その解析プログラムを充実させ、研究成果を発表していく所存である。
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