研究課題/領域番号 |
10680630
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
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研究分担者 |
神谷 信夫 理化学研究所, (播磨研究所), 室長(研究職) (60152865)
杉山 康雄 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70154507)
山根 隆 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80030055)
足立 伸一 理化学研究所, (播磨研究所), 研究員 (60260220)
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キーワード | バクテリオロドプシン / アーキロドプシン / 光捕集クロロフィル蛋白質複合体 / 膜蛋白質 / X線結晶構造解析 / 光受容体 / 蛋白質構造解析 / 結晶化 |
研究概要 |
光駆動プロトンポンプとして知られる膜蛋白質バクテリオロドプシン(bR)およびエンドウの葉緑体のチラコイド膜より抽出した光補集クロロフィル蛋白質複合体(LHC-II)のX線結晶構造解析を行った。 bRのの構造解析には、平面膜が積層してできた三次元結晶を用いた。基底状態の構造解析から、結晶中の各平面膜においてバクテリオロドプシン三量体が蜂の単格子状に配置されていること、三量体の構造は紫膜の電子線構造解析から求められたものとほとんど同じであること、三量体中の隣り合う蛋白質間に強く結合している脂質分子が糊付けの役割を果たしていること、などを明らかにした。また、反応サイクルにおける重要なステップであるM->N転移が結晶中においては阻害され、M中間体の寿命が室温で1秒程度まで長くなることを示し、強力な光照射の下で結晶を急速凍結することによりほとんどの蛋白質がM中間体にトラップされた結晶状態を実現させた。この状態についても2.5Aの分解能の構造解析を行い、基底状態の構造との差から、M中間体の形成に伴い、レチナールの結合しているLYS216やARG82などのアミノ酸残基の構造が大きく変化すること、膜を貫通する7番目のへリックスが膜面に対して垂直方向にスライドすること、などを明らかにした。 LHC-IIについては二種類の結晶(複屈折性を示す六方晶と正八面体の結晶)を作成し、六方晶については2.5A分解能のX線回折斑点を観測することができた。また、正八面体の結晶については、基本構造単位が径27nmの球殻状集合体で、これが立方最密充填して結晶ができていることを明らかにした。回折強度の回転相関の計算結果から、結晶中の球殻状集合体が正二十面体の対称性を持つこと、すなわち、LHCIIの三量体が20個集合して球殻構造を形成していることが示された。
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