研究課題/領域番号 |
10680632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物物理学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
杉山 康雄 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (70154507)
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研究分担者 |
井原 邦夫 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助手 (90223297)
楠見 明弘 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50169992)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | レチナールタンパク質 / 光駆動イオンポンプ / 異種細胞発現系 / 分裂酵母 / GFP融合タンパク質 / 2次元結晶 / チューブ状構造 |
研究概要 |
本研究の目的は、レチナールタンパク質をモデルとして、遺伝子DNA塩基配列からアミノ酸配列は知られているが、細胞での発現量が少ないため物理化学的性質や立体構造のわからない膜タンパク質を異種細胞で大量に発現させ精製する実験系を開発することであった。 そのための第一歩として、異種細胞で大量に発現させた様々なレチナールタンパク質を天然状態のまま大量に単離調製する方法を検討した。即ち、分裂酵母で大量発現したレチナールタンパク質を簡便に調製する方法を目指して、C末に(His)6-Tagを付加した融合タンパク質を発現させてみたが、Ni-NTAアガロースカラム等での精製は容易ではなく、従来の可溶化レチナールタンパク精製法より優れているとは言い難かった。従って、従来通り、細胞の破壊→膜画分の単離→膜の可溶化→精製の各段階をふむ必要がある。 発現タンパク質を大量調製する上で、目的タンパク質を細胞内のどこに、何時発現させたら良いかを知る必要がある。GFPを融合した発現タンパク質の分裂酵母細胞内の所在を追跡したところ、対数増殖期にはレチナールタンパク質は小胞体で合成されたのち液胞へ分布すること、生育の定常期になると融合タンパク質は分解され遊離したGFPは細胞質や核膜等に分布することが分かった。従って、大量発現したタンパク質を精製する時期を誤らないこと、発現させたら直ぐ調製操作をすることが大切であろう。 また、アーキロドプシン(aR)は細胞膜中で集合して2次元結晶を形成していること、単離したaRを保存すると膜シートからチューブ状構造へ変換することが分かった。今後、aRの良質な3次元結晶が作成できれば構造解析が進むものと思われる。また、シート状の膜断片からチューブ状構造への変換機構を明らかにすれば、膜タンパク質の構造多型性の原因を原子レベルで明らかにできるであろう。
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