研究課題/領域番号 |
10680643
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉村 英恭 明治大学, 理工学部, 助教授 (70281441)
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研究分担者 |
小野 治 明治大学, 理工学部, 教授 (50130802)
荒川 薫 明治大学, 理工学部, 教授 (30183734)
武野 純一 明治大学, 理工学部, 教授 (90130822)
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キーワード | 投影型X線顕微鏡 / 断層法 / CT / コンピュータトモグラフィー / 立体構造再構成 / 臨界点乾燥法 / ワラジムシ / 蟻 |
研究概要 |
昨年度は0.1度の精度で制御できる回転ステージを試作したので、このステージを使って実際にX線CTで立体像を再構成することを試みた。試料は構造が比較的簡単なワラジムシと筋肉繊維などが複雑に分布している蟻を用いた。試料は臨界点乾燥で構造を保ったまま水を除き、コントラストをあげたものを使用した。ワラジムシでは5度おきに72枚の投影像をX線CCDカメラで撮影し、逆投影法で立体構造を再構成した。再構成した画像は256×256×256ピクセルの密度(吸光度)分布を現すファイルとして得られ、可視化ツールAVSを用いて表面や断面を表示できるようにした。この結果、ワラジムシの消化管の構造を観察できた。蟻の試料では1度おきに360枚撮影して再構成を試みたが、回転途中で試料が動いてしまったため立体像を再構成することができなかった。このためワラジムシと同様に5度おき72枚の投影像から再構成することを試みたが、蟻はワラジムシに比べて体積が1/10以下であり、そのため吸収によるコントラストも低く、きれいな立体像を得ることができなかった。今後は試料の固定法を改良するとともに投影像のコントラストをあげるために長い波長のX線を使って撮影する予定である。このためにはX線を発生させるための電子線の加速電圧を下げるだけではなく、CCDカメラの窓も薄くして波長の長いX線が透過できるようにしなければならない。また、CCDカメラで得られる画像は12ビットの階調をもっているが、画像処理のソフトウエアの関係で8ビットに階調を落として計算している。来年度はこの点も改良して蟻のようなコントラストの低い試料でも立体構造が得られるようにする予定である。
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