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2000 年度 実績報告書

受精の瞬間に活性化されるプロテインキナーゼのクローニングと機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 10680653
研究機関神戸大学

研究代表者

深見 泰夫  神戸大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00156746)

研究分担者 佐藤 賢一  神戸大学, 遺伝子実験施設, 助手 (30235337)
キーワード受精 / 卵活性化 / 蛋白質チロシンリン酸化 / シグナル伝達 / Xenopus / Src / ホスホリパーゼCγ / 卵細胞膜ラフト
研究概要

アフリカツメガエル(ゼノパス)卵において、受精の瞬間に活性化されるチロシン特異的プロテインキナーゼ(以下Xykと略する)のクローニングと機能解析のための実験を行い、以下の新しい知見を得た。
1.精製Xykのマススペクトロメトリによる構造解析を行い、蛋白質全体(およそ530アミノ酸)のほぼ50%をカバーするアミノ酸配列の解読に成功した。その構造は、すでに報告のあるゼノパスSrc2と100%一致していた。このことはXykの解析に抗Src特異抗体を用いてきたことに妥当性を示すとともに、より詳細なXykの解析手段を得るための基礎情報となった。現在、別種の特異抗体や変異Xyk蛋白質を作成中である。
2.受精時のXyk依存的な膜脂質分解酵素PLCγの活性化ならびに卵活性化シグナル伝達(前年度に報告済み)が、過酸化水素刺激を受けた未受精卵で再構成されることを見いだした。過酸化水素処理卵は、微弱で検出・解析が困難であった受精依存的な卵蛋白質チロシンリン酸化を高いレベルで模倣するモデル系として有用性がある。そこで現在、過酸化水素処理卵の抽出液を抗原にしたマウスモノクローナル抗体の作成を行っている。
3.卵細胞膜のラフト(低密度でかつ界面活性剤に非可溶性の膜分画)がXyk等のシグナル伝達分子群を含み、試験管内で精子とマグネシウム/ATPを加えられるとチロシンリン酸化の亢進を示すことを見いだした。また、ラフトの主要成分であるコレステロールを除去された卵は有意に受精能を失うことも見いだした。これらの結果は、ラフトが受精成立シグナル伝達に働く卵細胞膜マイクロドメインであることを示唆している。
以上の結果を踏まえ、今後はXykに焦点をあてた実験と平行して、受精成立の分子機構をより包括的に俯瞰することが出来るようなモデル実験系・研究手法の開発に着手していきたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Sato,K.-I.: "Adaptor protein Shc undergoes translocation and mediates up-regulation of the tyrosine kinase c-Src in EGF-stimulated A431 cells."Genes Cells. 5. 749-764 (2000)

  • [文献書誌] Sato,K.-I.: "Tyrosine kinase-dependent activation of phospholipase Cγ is required for calcium transient in Xenopus egg fertilization."Dev.Biol.. 224. 453-469 (2000)

  • [文献書誌] Sato,K.-I.: "Fertilization signalling and protein-tyrosine kinases."Comp.Biochem. Physiol. B Biochem. Mol.Biol.. 126. 129-148 (2000)

  • [文献書誌] Sato,K.-I.: "Regulation of Xenopus oocyte maturation, egg fertilization, and embryogenesis by protein-tyrosine phosphorylation."Curr.Top.Biochem. Res.. 2. 91-102 (2000)

  • [文献書誌] Sato,K.-I.: "Hydrogen peroxide induces Src family tyrosine kinase-dependent activation of Xenopus eggs."Dev.Growth Differ.. 43. 55-72 (2001)

  • [文献書誌] Tokmakov,A.A.: "Calcium oscillations in Xenopus egg cycling extracts."J.Cell. Biochem.. (印刷中).

  • [文献書誌] 深見泰夫: "ポストゲノム時代の実験講座2、プロテオーム解析法"磯部俊明,高橋信弘 編集(羊土社). 282 (2000)

  • [文献書誌] 深見泰夫: "免疫学辞典"大沢利昭,奥田研爾,小山次郎,矢田純一郎 編集(東京化学同人)(編集中). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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