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1998 年度 実績報告書

大腸菌染色体分配機構:染色体特定領域の細胞周期依存的な挙動の解明

研究課題

研究課題/領域番号 10680655
研究機関熊本大学

研究代表者

仁木 宏典  熊本大学, 医学部, 講師 (70208122)

キーワード大腸菌 / 染色体 / 分配 / 複製起点 / 複製終点 / セントロメア / FISH / 原核細胞
研究概要

原核細胞の染色体DNAは複製後に娘細胞へと正確に分配されている。本研究では蛍光insituハイブリダイジェーション(FISH)法を用いて染色体上の特定のDNA領域、複製起点と複製終点領域が細胞分裂時に細胞内でどのように挙動しているのかを初めて明かにすることができた。
複製起点領域は分裂直後の細胞では核様体の一端に局在していた。複製起点領域は複製後に倍化するとそのコピーの一つが反対側の核様体の端に移動した。移動後は細胞が分裂する間、それぞれの複製起点領域は核様体の端に局在する。また、最寄りの細胞の長軸極からそれぞれの複製起点領域までの距離は細胞長に関らず細胞分裂の間はほぼ一定の距離に保たれていることを明らかにした。
一方、複製終点領域もまた分裂直後の細胞では核様体の一端に局在していた。二重標識方法によって複製起点、複製終点領域の細胞内の分布を同時に観察したところ、新生細胞では複製起点、複製終点領域は常に対局して核様体のそれぞれの端に位置していた。細胞分裂周期の進行の伴い複製終点領域は核様体の端から細胞の真ん中へと移動する。そして、染色体DNAが完全に倍化してから最後にそれぞれの娘細胞へと分かれていく。このため、分裂面に近い核様体の端には複製終点領域が局在し、反対の核様体の端には複製起点が位置することになる。したがって新生細胞で分極化した核様体をもっているということである。
以上のように原核細胞内においても細胞分裂周期に応じた特定の染色体領域の動的な局在化が見られることから、原核細胞独自の染色体分配装置があるものと考えられる。また大腸菌染色体上の複製起点の近くには染色体分配に関してシスに機能する領域、すなわちセントロメアに相当する領域が存在していることが今回の結果から強く示唆される。さらに複製終点付近にもまたその局在化に関与する領域が存在するものと考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Niki,H.: "Polar localization of the replication origin and terminus in Escherichia coli nucleoids during chromosome partitioning." Genes & Development. 12. 1036-1045 (1998)

  • [文献書誌] Hiraga,S.: "Cell cycle-dependent duplication and bidirectional migration of SeqA-associated DNA-protein complexes in E.Coli." Mol.Cell. 1. 381-387 (1998)

  • [文献書誌] Hirano,M.: "Autorequlation of the partition genes of mini-F plasmid and the intracellular localization of their products in Escherichia coli." Mol.Gen.Genet.257. 392-403 (1998)

  • [文献書誌] Onogi,T.: "The assembly and migration of SeqA-Gfp fusion in living cells of Escherichia coli." Mol.Microbiol.(in press). (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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