1、Green Fluorescent Protein(GFP)tagを用いた細胞内RAD51の動態の変化の観察と機能ドメインの同定。 RAD51蛋白はS期特異的な核内点状体を形成し、DNA組換えばかりでなく、複製との関与が示唆されている。我々はGFPtagをRAD51蛋白に付加することによって、生きた細胞のままRAD51蛋白を観察することが可能なことを報告している。この方法を用いてRAD51機能ドメインの異常蛋白のいくつかで、細胞内での発現様式を検討した。その中で特に注目すべきは、ATP結合ドメイン置換蛋白で核内網状構造体を形成したことである。このことから、ATP非存在下でRAD51は自己重合することが示唆された。 2、RAD51結合分子RAB22遺伝子欠損マウスの作製。 RAB22遺伝子欠損マウスは正常に生まれ、免疫系の異常は認められなかった。すなわち、Tリンパ球の細胞表面マーカーであるCD4、CD8、Bリンパ球の細胞表面マーカーであるIgM、B220も正常であった。放射線感受性、発がんの可能性に関しては現在検討中である。 3、新規RAD51結合分子XB7の単離。 我々は以前、Yeast Two-hybrid法にて、V(D)J組換え酵素で、DNA二重鎖切断修復関連蛋白であるXRCC4と結合する新規分子XB7を単離した。このXB7分子と他の核蛋白との結合を検討したところ、RAD51とも強く結合することが判明した。このことはDNA二重鎖切断修復の二つの修復経路すなわち、相同組換え修復と非相同的断端結合の最終段階では同様な酵素群を使用している可能性を示唆している。
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