研究概要 |
1)DAN遺伝子、およびその産物についての解析 ヒト骨軟部腫瘍由来の細胞株であるSAOS-2細胞に、DAN遺伝子を導入し、強制発現させたところ、細胞増殖の著しい抑制が観察された。この現象は、非分泌型のDANの強制発現では観察されなかったことから、分泌型のDANが活性型であると考えられる。また、マウスの胚性癌細胞であるP19細胞を用いた実験系で、BMP4由来のシグナルが、DANによって阻害されることが確認された。従って、ツメガエルの初期胚のみならず哺乳類由来の細胞においても、DANはCerberus,GremlinとともにBMPに対するアンタゴニストとして機能しうると考えられる。今後、DANによるBMPシグナル阻害の分子機構の解明が重要な課題であると思われる。 2)DA41遺伝子、およびその産物についての解析 ラット繊維芽細胞由来の細胞株3Y1をv-Ha-rasで形質転換した細胞(ras-3Y1)にDA41遺伝子を導入し強制発現させたところ、細胞増殖の著しい抑制が観察された。またこの現象はCDK2活性の顕著な低下を伴っていた。一方、ヒトDA41遺伝子はヒト染色体上9q21.2-q21.3にマップされたが、この領域は膀胱癌のsuppressor locusと一部重なっていた。最近、マウス及びツメガエルよりDA41類似遺伝子が相次いでクローニングされた。その中で、ツメガエルのXDRP1はサイクリンAと特異的に結合し、その分解と阻害する。今後、Da41あるいはDA41類似蛋白質により細胞増殖、並びに細胞周期制御の分子機構の解明が、その重要度を増すものと考えられる。
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