研究概要 |
クラミドモナスには一般的構造のアクチン(以下,単にアクチン)と,これとは著しく配列の異なる第二のアクチン(以下,NAP(Novel actin-like protein))が存在する.突然変異株ida5はアクチンが完全に欠失した変異株だが,アクチンが欠損しても第二のアクチンがあるためか,致死にはならない.アクチンは全部で7種ある内腕ダイニンのうち,6種と接合しており,また,ida5の変異形質からそれら内腕ダイニンが軸糸へ構築されるのに必要であることがわかっている.しかし,アクチンがダイニンと結合して何をしているのか,また,どのようにして軸糸への構築に関与しているのかは明らかではない.本研究では,まず,アクチンの重合に関わるドメインに変異を入れたアクチン遺伝子をida5に導入する実験を行った.その結果,内腕ダイニンは,アクチンが重合できなくても軸糸へ構築されることを強く示唆する結果が得られた.しかし,この変異アクチンが本当に重合しないのか,NAPと共重合する可能性はないのか,などについてはまた検討段階である.これとは別に,アクチンがダイニン複合体内で,どのサブユニットと結合しているのかを,化学架橋実験によって検討した.その結果,アクチンを含む6種の内腕ダイニンのうち,3種ではセントリンというカルシウム結合タンパク質に,残り3種ではp28というすでに同定されているダイニン軽鎖と結合することがわかった.さらに,これらを介してアクチンはダイニン重鎖と結合していることが示された.
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