研究概要 |
本研究において、期間内に以下の成果が得られた。RagAと相互作用する蛋白質をtwo hybrid法を用いて分離した。得られたRag CとRag Dは、Rag Aと細胞内で結合しており、ヘテロダイマーを形成している可能性がある。Rag CとRag Dは、それぞれカルボキシル末端部分でRagAのカルボキシル末端部分と結合していた。Rag CとRag DはRag Aとアミノ酸レベルで平均で6%、Rag CとRag D間では72%のホモロジーがあった。タグを付けたRagAとRag CとRag DのcDNAをBHK21細胞に形質転換し免疫沈降法でRag AとRag C,またRagAとRag Dがそれぞれ結合していることを確認した。間接蛍光法で細胞内局在をみたところ主に細胞質に存在し核にも存在していた。Rag CとRag Dの細胞内での局在は、Rag Aと一致した。Rag Cは、グアニンヌクレオチドと特異的に結合するG蛋白質であった。また、新規遺伝子227の解析をおこない227は、カルボキシル末端でRag Aのロイシンジッパー領域などで相互作用していることがわかった。227はRag AのGTP型には結合するがGDP型には結合しないことからエフェクターの可能性がある。また、主に核に存在しRNPS1やCLK1などのスプライシングや転写にかかわる遺伝子産物と共存していることを確認した。さらに、Rag Aと相互作用する新規ヒト遺伝子158を同定し解析を行っています。 一方、RCC1の研究においては、RCC1のりん酸化の研究を行った。まず、ヒト細胞をP-32で標識し抗RCC1抗体で免疫沈降し電気泳動しRCC1蛋白質が、りん酸化されるのを確認した。さらに、アミノ末端に少なくとも1ヵ所りん酸化される部位があることをみいだし、このアミノ末端のりん酸化部位にりん酸化型の突然変異を導入しトランジエントに細胞に導入したところ細胞質が強く染色され核への移行が阻害された。
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