(1)ウニ卵の中心体は分裂装置の形成中心として機能し、分子量5万1千のG蛋白質(p51)がチューブリンの重合核を構成する蛋白質成分として役割を果たしている。この蛋白成分は中心体のMTOG(微小管形成顆粒)に含まれている。一方、γ-チューブリンやRan-GTP結合蛋白が中心体にあり、微小管形成の中心となるという報告もある。そこで、MTOG分画をウニ未受精卵と受精卵から分離して、そこに含まれるp51の局在をウエスタンブロット法によりまず確かめた。次いで、ネズミで作成した抗γ-チューブリン抗体を用いて調べたところ、MTOG分画からγ-チューブリンを検出することが出来なかった。このp51分画はカルボキシル基をコートしたラテックスビーズの表面に結合してチューブリン重合の核を形成するので、ラテックスビーズに結合するMTOG分画中の成分にγ-チューブリンが含まれる可能性を検討したが、これもネガティブな結果しか得られなかった。現在用いた抗γ-チューブリン抗体をウサギの抗体に代えて検討中であるが、生物は重複した機能蛋白質を持つ可能性を否定出来ない。 (2)ラテックスビーズにp51を結合させ、チューブリンを添加して星状体を構築する反応系を濁度測定で定量化する方法を確立し、p51とγ-チューブリンのそれぞれの効果を調べたところ、抗p51抗体の阻害活性は著しいが、抗γ-チューブリン抗体は殆ど阻害しないことが明らかになったので、ウニ卵ではγ-チューブリンは微小管形成の核として機能していない可能性が有る。いずれにしても、抗体を代えて再検討の必要がある。
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