研究課題/領域番号 |
10680680
|
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
前田 信明 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (90202308)
|
研究分担者 |
河内 浩行 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 特別協力研究員
|
キーワード | プロテオグリカン / PTPζ / プレイオトロフィン / PSD-95 / 酵母two hybrid system |
研究概要 |
受容体型チロシンホスファターゼPTPζは、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとして同定された唯一の受容体であり、中枢神経特異的に発現する。我々は既に、本受容体のリガンドとして、ヘパリン結合性成長因子であるプレイオトロフィンとミッドカインを同定している。本年度はPTPζの細胞内情報伝達機構を明らかにする目的で、本分子の細胞内領域に結合するタンパク質の同定を、酵母two-hybrid systemを用いて試みた。PTPζの細胞内領域をbaitとして、ラット脳cDNAライブラリーをスクリーニングしたところ、PSD-95/SAP90ファミリーに属するタンパク質群(PSD-95/SAP90、SAP97/hdlg、SAP102)がクローニングされてきた。これらは、三つのPDZ領域、各々一つのSH3領域とguanylate kinase(GK)様領域からなるタンパク質である。これらのタンパク質は、NMDA受容体やShaker型カリウムチャネルのような膜タンパク質のC-末端領域と、PDZ領域を介して結合することにより、シナプス部位における受容体やイオンチャネルの局在性を調節していると考えられている。様々なdeletion mutantを用いた実験により、PTPζも、そのC-末端領域を介して(C-末端のSLVという配列が必須)、PSD-95/SAP90ファミリーの二番目のPDZ領域に結合することが明らかになった。さらに、免疫組織化学的解析により、PTPζとPSD95は海馬や大脳新皮質の錐体細胞の樹状突起において共局在することが明らかになった。これらのことは、PTPζがPSD-95と相互作用することによって、シナプス機能を調節している可能性を示唆している。
|