研究概要 |
我々の身体という空間内における位置決定は頭尾軸、背腹軸、及び左右軸によって決定される。右と左は外見は対称に見えるが、内部器官を見ると、ほとんど全ての臓器において位置、機能において左右非対称性が存在する。inv内臓逆位マウスは挿入変異により生じたと考えられ、我々は挿入部を解析することによって、その部に位置する遺伝子をクローニングし、さらに、その遺伝子がinv遺伝子であるをgene rescueによって証明した。本研究においては、その機能を知るために、まづ、マウスinv遺伝子の細胞内局在を検討した。inv遺伝子の細胞内局在を知るため、まずGFPをinv遺伝子の前後につないだコンストラクトを作成した。この融合遺伝子をcos7細胞トランスフェクションし、翌日蛍光を観察した。結果はGFPを前につけた場合蛍光は細胞質に観察されたのに対し、後ろにつけた場合蛍光は核に観察されるという混乱した結果であった。そこで、タッグとしてさらにFlag、mycをinv遺伝子につなげたコンストラクトを作成して、その局在を検討した。トランスフェクション後、flag,mycに対する抗体を用いて、局在を検討した結果、その反応は細胞質にすべてコンストラクトにおいて観察された。inv遺伝子はC-末に核移行シグナルを持っている。そこで、核移行性があるかどうかを検討するため、いくつかのGFP-inv deletion mutantsを作成し、やはりcos7細胞に導入した。その結果核移行シグナルのみにすると、蛍光は核に観察されるようになり、inv遺伝子の核移行シグナルは機能していることが明らかになった。以上の結果より、inv遺伝子は核と細胞質を移行し機能している可能性が考えられた。
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