研究概要 |
平成11年度は以下の3つの目的に向かって研究を進めた。 1.外植体のさらに長い時間の培養が可能かどうか引き続き実験を進める。 実験を繰り返したが、安定した結果を得ることが出来なかった。 2.特異的な阻害剤をもちいて、運動神経細胞死における、各カスパーゼの役割を明らかにする。 カスパーゼ3に対する阻害剤のDEVDを投与したところ、細胞死の進行は遅くなったが、細胞死が起こることそのものは抑制できなかった。このことからカスパーゼ3は動神経細胞死に必須のものではないことが示唆された。 カスパーゼ6に対する特異的な阻害剤であるVEIDを、生体内に投与したところ、(1)DNAの断片化は起こること、(2)核の凝集が起こらないこと、(3)カスパーゼ3の活性は弱いながら認められることが明かとなった。このことから、カスパーゼ6はカスパーゼカスケードのおいてカスパーゼ3の下流に位置する、アポトーシスにおける核の凝集断片化に関与していることが示唆された。 3.昨年度に行った予備実験でGDNFに頚髄の運動神経細胞死抑制効果が認められたので、この作用について詳しい解析を行なう。この結果、(1)GDNFファミリーに属するNEUTURINとPERSEPHINにも細胞死の抑制効果が認められこと、(2)頚髄の運動神経細胞には細胞死の前の時期にGDNFファミリーに対する受容体のRETとアルファー受容体の1,2,4が発現していることが明かとなった。さらに、同じ頚髄の内側運動核の中でのそれら受容体の発現パタンが、異なっており、内側運動神経核の中にさらに細かいサブグループが存在するという興味深い所見が得られた。
|