研究概要 |
1)ドップラー血流計を用いてのピット膜血流の局所変化測定で神経切断と薬物投与の組合わせ実験を行い、赤外線刺激に応答する血流変化の内、最も速い血流変化(刺激後平均4.5ミリ秒に応答)は赤外線感覚神経(Aδ線維)の末梢終末(TNM)が直接作用している事を論文にまとめて報告した[Auton.Neurosci.,84(2000)98-106]。さらに、赤外線刺激に応じてTNMからNOが分泌され、TNMに隣接しているペリサイトに働きかけ毛細血管を拡張させているという仮説を支持するデーター、即ちTNMにNADPH-dとNOSの活性を酵素組織化学と免疫組織化学法で証明した[日本微小循環学会第26回総会で発表]。 2)ピット膜の毛細血管のペリサイトの走査/透過電子顕微鏡像を明らかにした。また、ペリサイト内における平滑筋型α-アクチンとデスミンの局在を調べた。その結果ピット膜の毛細血管は、常時ペリサイトによって収縮させられており、赤外線刺激に対応してペリサイトの突起が伸展する事により毛細管の直径が拡張すると推測された。[Anat.Rec.,260(2000)299-307]。 3)電子顕微鏡的計測で有髄線維約3,000本に対し無髄線維が2倍の約6,000本存在する事を既に報告している[日本解剖学会第105回総会]。本年度は、免疫組織化学的手法により無随線維には、SP単独型、SP/VIP共存型、VIP単独型の3タイプに分ける事が出来た。カプサイシン投与により、ピット膜内の陽性線維は3タイプとも大部分消失したが、ピット辺縁部ではほとんど変化しなかった。すなわち3つのタイプすべてに、カプサイシン感受性のある侵害知覚線維とカプサイシンに感受性のない副交感線維があり、ピット膜内では侵害知覚線維が大部分で、ピット辺縁部では副交感線維が大部分であると推測した[日本解剖学会第88回関東地方会]。
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