研究概要 |
ミクログリアのblood-brain barrier(BBB)を通過出来る能力を利用し、目的遺伝子をtransfectionしたミクログリアを作製し、動物個体に投入するシステムの開発に着手し、その応用として、脳虚血モデル動物へ応用し、その治療効果について、検討することを目的とした。平成10年度はcell line化されたミクログリアを用いる方法と砂ネズミ、マウス、ラット各脳から分離培養されたミクログリアを用いる方法とを比較検討し、培養条件を確立した。続いて、GFPをマーカーとして組み込んだベクターを作製し、cell line化されたミクログリアを用いtransfectionするための至適条件を検討した。市販の各種transfectionの方法として、リポゾーマル法として、DOTAP liposomal,Effectene,lipofectamine plus,Superfectの各方法、リン酸カルシウム法、その他の方法として、electroporation法、gene gun法を検討したが、いずれの方法にてもl-5%以下のtransfection効率であり、これらの方法は断念し、続いて、ウイルスを用いた方法の検討を開始した。アデノウイルスを用いた方法では約50%ぐらいの効率でtransfectionできることが確認された。なお、センダイウイルスを用いたtransfectionではtransfectionされたミクログリアは数的にはアデノウイルスよりも少ないが、個々の細胞へのGFPの取り込みは非常につよいことが確認できた。現在、Semliki Forest Vitusを用いた方法を開始するべくその準備段階である。また動物へのミクログリアの至適投与方法をを確立するため、末梢静脈投与(大腿静脈)、動脈投与(内頚動脈、鎖骨下動脈)、心臓穿刺による方法につきラット、砂ネズミにつき検討中である。静脈投与、腹腔内投与は脳への移行が少ないので、動脈投与が比較的よい結果を得ている。
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