研究課題/領域番号 |
10680708
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
塩田 清二 昭和大学, 医学部, 助教授 (80102375)
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研究分担者 |
八木 健 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (10241241)
矢田 俊彦 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60166527)
中条 茂男 昭和大学, 薬学部, 助教授 (50119236)
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キーワード | PACAP / バソプレシン / シグナル伝達 / 視床下部 / ラット |
研究概要 |
PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide)は種々の細胞内のcAMP産生を強力に亢進させることが知られている。視床下部の神経内分泌細胞に発現しているPACAP受容体がPACAPに応答してどのようなシグナル伝達を介してバソプレシンの分泌・合成を調節しているのか、さらには循環調節機構におけるPACAPの役割を機能形態学的に明らかにする目的で実験を行った。即ち、ラット視床下部バソプレシンニューロンにおけるPACAPレセプターサブタイプの遺伝子発現をしらべ、バソプレシンニューロンのシグナル伝達をしらべた。 1) In situハイブリダイゼーション法を用いてラット脳内のPACAPレセプター(PAC1-Rs)の遺伝子発現をしらべたところ、視索上核のバソプレシンニューロンに強い遺伝子発現がみとめられた。さらにIn situ RT-PCR法を用いて同領域を検索し、このレセプターのサブタイプ発現を検索したところ、PAC1-R,PAC1-R-hopの2タイプの遺伝子発現がみられた。レセプター抗体を用いた免疫組織化学的観察でも同部位にタンパク発現を認めた。 2) 視床下部神経分泌細胞を単離し、fura2をloadingした後PACAPを投与して細胞内のカルシウム濃度を測定した結果、PACAPによる細胞内シグナル伝達はcAMP-protein kinase A(PKA)を介するものであることが種々の酵素阻害剤を用いることにより明らかになった。またこのPKAはN-,L-型のカルシウムチャンネルを活性化し、細胞内のカルシウム流入が促進されて分泌果粒の放出につながることが明らかになった。 以上、当初の目的は達成したが、今後さらに種々のイオンチャンネルブロッカー等を用いて生理実験を行い、どのようなセカンドメッセンジャー系がPACAP受容体のシグナル伝達に関与するのかを検索する予定である。
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