sawayingマウスの肉眼的観察において、中脳、特に下丘のサイズは極端な減少あるいは完全な消失を示し、その位置も左右対称性で、正中線に対し垂直方向をとらず、傾斜した方向をとっていた。小脳は、正中虫部の皮質が深部に陥没し、各小葉を区分する溝そして虫部と半球を境界するラインも不明瞭であった。 sawayingマウスの組織学的観察において、中脳では下丘が小脳前部と融合する様に腹側部におちこんだり、下丘の欠如により上丘が直接小脳深部白質と融合するような像が観察できた。小脳では小脳半球に比べて、小脳虫部で特に小葉および層構築の異常が強く出現していた。その中で、中脳と小脳前葉の融合、各小葉の不連続性、左右小葉の非対称性、小脳前葉の顆粒細胞とプルキンエ細胞の混在するスクランブル様の構造が顕著であった。 sawayingマウスの発生過程の小脳の組織学的観察において、小脳虫部領域は生後0-5日まで欠如し、それ以降の時期(生後7-15日)では虫部前葉の層構造の乱れが観察された。一方、生後0日の小脳半球領域は小さく、生後3日から5日までの小脳半球は前葉が中脳と融合し、その結果、前葉を形成するそれぞれの小葉はみられなかった。また発生過程のほとんどの時期で、小脳半球は左右非対称性であった。 平成10年度の検索で、wnt-1遺伝子が欠如すると、(1)中脳の位置の極性やサイズに影響すること、(2)小脳虫部前葉のみが強く影響を受けること、(3)発生過程で、小脳虫部や半球の前葉の層形成が遅延していることが明らかとなった。
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