研究課題/領域番号 |
10680714
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研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
小柳 清光 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 副参事研究員 (00134958)
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研究分担者 |
内原 俊記 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経病理学研究部門, 主任研究員 (10223570)
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キーワード | パーキンソン痴呆症 / 進行性核上性麻痺 / 大脳皮質基底核変性症 / 黒質 / 神経細胞 / 神経原線維変化 / グリアタングル / 定量 |
研究概要 |
Guam島のパーキンソン痴呆症(PDC)、および進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)の疾患特異性を明らかにすることを目的とした。 【対象と方法】 臨床病理学的に診断されたPDC50例、日本人のPSP7例、CBD5例、対照5例を用いた。 方法 1.ホルマリン固定パラフィン包埋された黒質を使川した。2.HE、KBなどの染色標本を作成し、光顕観察を行った。3.ガリアス染色、およびtauに対する種々の免疫染色を行って神経原線維変化(NFT)、グリアタングルを光顕的に検討した。4.黒質神経細胞を定量的に検討した。 【結果】 I. PDC:NFTが散在性にみられ、astrocyteにgranular hazy inclusionが認められた。threadは比較的少ない。pigmented neuronはpars reticulataで目立つ極めて強い脱落を示し、一方non-pigmented neuronは、pigmented neuronよりは程度が軽い、び慢性の脱落を示した。 II. PSP:比較的多数のNFTが認められた。threadとcoiled bodyは症例によって数に差が見られる。pigmented neuronはび慢性に強く脱落し、non-pigmented neuronも極めて強く、しかし特にpars reticulataで脱落していた。 III. CBD:NFTは症例によって少数みられる。threadは比較的多い。線維性グリオーシスが著明である。pigmented neuron、non-pigmented neuronとも脱落しているが症例によって程度と局在が異なり、一定のパターンは見られなかった。 【考察】 PDCの黒質で、astrocyteにgranular hazy inclusionが見られ、PSP、CBDでthreadが認められたことは、大脳と同質の疾患特異的な病的変化が黒質にも存在することを示唆している。 PDCは、さきの武田らの報告と同様の黒質神経細胞脱落のパターンを示した。一方PSPでは、non-pigmented neuron脱落のパターンはPDCとは異なって見え、病的機序の相違を示唆するとともに臨床症状に修飾を及ぼした可能性が考えられた。
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